長井忠昌さんからの情報提供
手元に残った本の「書評」について
長井忠昌
齢80を超え、終活ではないが手元にある本の整理を行なった。そもそも私が東浦和に家を持とうと思ったきっかけも「本」のせいであった。それまでは、東陽町のマンションに住んでいたのだが、「本」が邪魔だと女房にベランダに放りだされてしまったからである。
東浦和の家には地下の倉庫スペースもあり、その後、本も安住の地を得ていたのだが、今度は、本の保管スペースの問題でなく、読む本人がいなくなってなってしまう問題が生じようとしているからである。経営や営業に関する本は、九州で会社の幹部になろうとしている甥に送ったり、海外鉄道技術協力に関する本はJR関連会社の図書室に寄贈したり、残りははブックオフへ持ち込んだりして、今は少ない本が手元に残った。
その中で私が感銘を受け、皆さんにも知って頂けたらと思う本が数冊あるので、何回かに分けて紹介したいと思います。
【No.1】
書評 「寡黙なる巨人」多田富雄著
先ず、最初に紹介したいのは高齢の我々の健康にも関係するものである。この「寡黙なる巨人」の本を何で知ったのか、今でも思い出せないが五木寛之氏の書評が付いているから新聞の書評かなんかで知ったのかもしれない。ただ、この本は買ってから10年くらいは、読まれずに倉庫で眠っていたものである。
しかし、読み始めてみたら衝撃をうけた。医者で野口英世記念医学賞を受けるなど、東大の名誉教授までになった優秀な著者「多田富雄」が67歳のある日、金沢で会食をしていたら「脳梗塞」になってしまったのである。通常は、死んでしまうような病状であったが、医者でもあり何とか命だけは取り止めることができる。しかし、それまでは優秀な医者であった本人が、脳梗塞後は「唾をのみ込むことさえできない」、「涎がとめどなく流れる」、「水が1滴ものめない」、「声がでない即ち喋れない」、「舌がマグロの切り身のようにだらりと横たわったまま」、「体の右半身が動かない」と地獄が始まるのである。それからの「地獄のリハビリ」の様子が詳細に語られている。
「脳梗塞」後は、自分の中に生まれつつある新しい人を「巨人」と呼び、「自分とは別の巨人」が生き始めていると感じている。但し、その「巨人」は「杖を使っても不器用にしか歩けない」、「尻もちをついたら、どんなにあがいても起き上がれない」。本人は、優秀な医者であり、能楽やの各種文化活動にも造詣が深く、それらを含めて新しい別の世界で、余生を楽しむことと達観しています。
この本によって、健康の大切さ、それに対する感謝を改めて感じることが出来るのではないでしょうか。
この本の中古文庫本は、アマゾンで送料を含めて500円位で買えるので、皆さんも是非一読してみて下さい。
令和6年5月16日
長井 忠昌
←「 佐藤宏樹 投手 ー ソフトバンクホークス」前の記事へ